コンプライアンスの強化

スポーツ庁「ガバナンスコード」に沿った、より透明性の高い健全な組織運営をめざします。

  • スポーツ庁は2019年8月、更なるスポーツの価値向上に向けて、ガバナンスコードを示した
  • 各スポーツ団体に対し、これまで以上に高い規範意識を持ち、組織運営・事業展開をするよう求めた
  • 当協会における当面の改善点としては、役員・会計など組織情報を積極的に公開することなどがある。

スポーツの社会的地位は、2011年にスポーツ基本法が制定されて以来、一貫して向上し続けており、現在もその価値を更に高めようとしています。

多くの人がスポーツの役割に期待しています。子どもたちであれば、スポーツで身体を鍛え、心を育み社会性を高めていく。中高年の方であれば、プレイヤーとして関わりを持つほか、審判・役員従事や経済的支援などにより関係組織を支える、あるいは観る・調べるなどのつながりを通じて自身のアイデンティティをより確かなものとしていくなど。

その一方で残念なことに、スポーツ関係者による不祥事が全国で後を絶たず続いています。暴力、公金不正利用、賭博、セクハラなどが繰り返されてきました。こうした事態を防ぎ、スポーツの社会的価値を損ねることが無いようにと、2019年にスポーツ庁が動きました。

平成29年度スポーツ庁委託事業:スポーツ界のコンプライアンス強化事業におけるコンプライアンスに関する現況評価の実施報告書(平成30年3月 独立行政法人日本スポーツ振興センター)より

ガバナンスコードというもの

スポーツ庁は2019年8月に「ガバナンスコード」を公表しました。各スポーツ団体が自ら遵守すべき基準を明らかにし、適切な組織運営を行う上での原則・規範を示すとともに、各団体に対し、その遵守状況について定期的な公表を求めたものです。

スポーツを愛好する人々の善意やボランティア精神に支えられた組織運営は,責任の所在を曖昧にし,コンプライアンス意識が徹底されず,組織運営上の問題が見過ごされがちになるなど,ガバナンスの確保がおざなりになってきた面があると考えられる。実際,近年,NF[※中央競技団体]を始めとするスポーツ団体のガバナンスの機能不全により,スポーツの価値を毀損するような様々な不祥事事案が生じたり,スポーツ指導の現場における暴力行為等が度々報じられたりしており,スポーツ基本法の理念が実現に向かっているとはいい難い状況にある。

[中略]各スポーツ団体においては,ガバナンスコードの各原則・規定を遵守するよう努めるとともに,ステークホルダー(利害関係者)等への説明責任を果たす観点から,その遵守状況について自主的に自己説明を行い,その結果を定期的に公表することが望まれる。

スポーツ団体ガバナンスコード<一般スポーツ団体向け> PDF 1.2MB

古い世代には不思議なものと感じられます。体罰による指導が常識的に行われ、トレーニング中に水分を摂るとスタミナが落ちるなどと信じられていた時代がありました。プロスポーツ選手が平気で喫煙をしていたり、試合後明け方まで歓楽街で遊んでいたり、それが武勇伝として語り草になることも。スポーツ界には、常に黒い噂がつきものだという風潮さえありました。

今では体罰などの暴力行為、さまざまなハラスメント、不正経理などが厳しく追及されます。スポーツ団体にとっては、合理的で公正な活動と透明性の高い組織運営が不可欠なものとなっています。選手は競技成績だけでなく、品位と尊厳のある態度が求められます。

このたびのガバナンスコードは、スポーツ庁が各関係団体に対して、スポーツの価値を尊いものとして保持できるよう、協力を要請したものといえます。そして今後においては、各団体におけるガバナンスコード遵守の状況が、公的助成金の受給要件となることも想定されています。ガイドラインを守れない団体には、助成できませんという訳です。

今後の取組と方向性

ガバナンスコードでは、資金の使途については高い公正性と透明性の保持が必要であることから、少なくとも年度ごとの収支報告などをWeb上で公開することを推奨しています。

例えば近年、陸上競技では公認競技会の開催・増設等に伴い、参加資格としていわゆる陸連登録を行うことが必要とされています。中学・高校・大学・一般の区分に加え、2020年度からはマスターズ登録選手も陸連登録が必須となりました。そして大会参加にあたっては、別途参加料も必要となります。

現状では徴収された登録料や参加料が、一体どのように会計処理されて何に利用されているのか、支払った選手や団体にとって十分に明らかにされているとはいえない状況です。こうした点を改善していくことにより、組織の信頼性をより一層高めることが可能となります。

さらに栃木陸協では2019年度の主催大会終了後、グーグル・フォームを用いたフィードバック・アンケートを行い、事業改善に向けた意見聴取に取り組んできました。いただいた意見を元に改善可能な対策を講じ、選手・関係者の皆さまの満足度を高めるよう努めてまいりました。

2019年度栃木陸協主催競技会 フィードバックアンケート結果

一般財団法人栃木陸上競技協会・PDF 2,9MB

たびたび指摘されてきたものの例としては、「役員による選手への不適切な言動」がありました。昔、例えば昭和時代の感覚では、年長者が若年者に対して厳しい物言いをすることなどは、全く珍しいことではありませんでした。しかし今では、内容によっては一種のハラスメントと受け取られてしまう場合もあります。こうした事態についても、関係者が共通理解を持って適切な応対を心がけ、しっかりと防いでいく必要があります。

いずれも小さな取組の積み重ねとなりますが、そうした工夫が魅力ある事業を創造し、スポーツの価値をより一層高めることにもつながるものと考えます。

委員会では、選手をはじめ多様なステークホルダーから意見を聴取し、事業内容の改善に向けた手がかりとしていくほか、組織運営に係る情報を積極的に開示して組織の透明性を高めることができるよう、組織内のルールづくりを進めてまいります。